私は68歳で定年退職し、70歳になってからあらためて仕事を探し始めました。
年金だけでは少し心もとない。
まだ体も動くし、できれば何か仕事をして収入を得たい。そう思って求人を見て、応募書類を出し、面談にも行きました。
ところが、現実は思っていたよりずっと厳しいものでした。
書類選考ではねられる。
やっと面談まで進んでも、最後は断られる。
それが何度も続くと、さすがに気持ちが沈みます。
そして、頭の中にずっと同じ疑問が浮かぶようになりました。
そもそも、70歳を超えて本当に仕事はあるのだろうか。
今回は、この疑問に対して、私自身の体験だけでなく、添付資料にある就業データや調査結果も交えながら、現状を整理してみたいと思います。
>70歳以上で働く人は、実際にはかなりいます
まず、最初に確認しておきたいのは、70歳以上で働いている人は、決して少数派ではないということです。
添付資料によると、65歳以上の就業者数は、2023年で約920万人、2024年には930万人に達し、就業者全体の約13.7%を占める過去最多水準になっています。
しかも、65歳以上の就業者は2004年以降、20年以上にわたって増加が続いているとのことでした。
この数字を見ると、「高齢になっても働くこと」は、もう特別な話ではなくなっているのだと感じます。
さらに、70歳以上に絞って見ても、資料では次のような数字が紹介されていました。
- 70〜74歳の就業率:33.5%
- 75歳以上の就業率:11%
つまり、70〜74歳ではおよそ3人に1人、75歳以上でも10人に1人前後が働いている計算になります。
これを見れば、70歳を過ぎたら、もう仕事はないと決めつけるのは、実態とは少し違うようです。
【本記事内の統計出展】
・統計からみた我が国の高齢者(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics146.pdf
・60歳以上で働いている人はどれくらい? 何歳まで働きたい?(公益財団法人 生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/1045.html
・基調報告 高齢者をめぐる労働市場の動向(独立法人 労働制作研究・研修機構)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250115/houkoku/01-keynote-fujimoto.html
>ただし、「働いている人がいる」と「自分が採用される」は別の話です
ここが、実際に動いてみて痛感したところでした。
70代で働いている人が一定数いるのだから、自分にも何かあるだろう。
最初は私もそう思っていました。
けれど、応募してみると話は別でした。
書類で落ちる。
面談までは行くけれど、最後に断られる。
この繰り返しです。
統計で見ると、高齢者就業率は確かに上がっています。
けれどその一方で、「誰でも、どの求人でも採用されやすい」という意味ではまったくないのです。
数字としては働く高齢者が増えている。
でも、求職の現場では、入り口がかなり狭い。私はそう感じました。
>60代後半~70代の仕事は、受け皿のある分野に偏っています
では、70歳以上の方はどんな仕事に就いているのでしょうか。
添付資料では、65歳以上の主な就業先として、次のような分野が挙げられていました。
- 卸売業・小売業:約133万人
- 医療・福祉:約115万人
- サービス業:約104万人
- 農業・林業:約93万人
この並びを見るだけでも、シニアの就業先にはかなりはっきりした傾向があることがわかります。
実際、70代に近い働き方として資料に整理されていたのは、次のような仕事でした。
- スーパーや小売店のレジ、品出し
- 飲食店の補助業務
- 介護施設内の補助業務
- 軽作業、清掃、施設警備
- 農作業や自治体委託の環境美化
- 比較的負荷の低い事務補助や受付
- 専門職や講師など、経験を活かせる仕事
つまり、70代の仕事探しは、「どんな仕事でも選べる」というより、「受け皿のある場所にどう入るか」を考える作業に近いのだと思います。
ここを見誤ると、求人票だけ見て「これならできそうだ」と思って応募しても、なかなか結果につながりません。
>60代後半からは、正社員よりパート・アルバイト中心に変わっていきます
この点も、資料を見てあらためて納得した部分でした。
調査資料では、60〜64歳はまだ正社員も多い一方で、65〜69歳になるとパート・アルバイトの割合が一気に高まり、70歳以上では「新たにパート・アルバイト」「シルバー人材センター経由」などの働き方が多くなると報告されています。
つまり、年齢が上がるにつれて、働き方そのものが変わっていくのです。
これは言い換えると、70歳以上で仕事を探すなら、現役時代と同じ感覚でフルタイムや正社員の仕事を探しても、かみ合いにくいということでもあります。
私自身、求人を見ていると、つい「まだできる」「まだ働ける」と思ってしまいます。
その気持ちは本音ですし、決して間違ってはいません。
ただ、採用する側はそこを別の目で見ています。
- 体力は続くのか
- 長く働けるのか
- 通勤の負担は大丈夫か
- 新しいやり方に対応できるか
- 短時間勤務のほうが現実的ではないか
そう考えると、こちらが「まだ十分やれる」と思っていることと、相手が「安心して任せられる」と感じることの間には、どうしてもズレがあります。
>制度としての受け皿は広がっていますが、現場ではまだ差があります
一方で、少し希望が持てる数字もあります。
添付資料では、企業のうち「70歳までの就業確保措置」を実施済みの割合が、2024年で31.9%、2025年で34.8%と、年々増えていると紹介されていました。
また、法制度の面でも、2025年4月からは「希望者全員を65歳まで継続雇用」する流れがより明確になり、70歳までの就業機会確保も大きなテーマになっています。
この流れを見ると、制度としては確かに前へ進んでいるのだと思います。
ただ、ここでもやはり現実は少し複雑です。
制度があることと、実際に中途で応募した70代が採用されやすいことは、同じではありません。
会社の中で継続雇用として70歳近くまで働ける人は増えていても、いったん会社を離れたあとに、新しく仕事を探す人にとっては、まだ厳しさが残っていると私は感じます。
この違いは、数字だけを見ていると見落としやすいところかもしれません。
>70歳以上でも採用されやすい仕事には、はっきりした傾向があります
では、70代が現実的に入りやすい仕事には、どんな傾向があるのか。
添付資料全体を通して見えてくるのは、次の3つです。
- 短時間勤務であること
- 補助業務であること
- 人手不足の現場であること
たとえば、次のような条件は比較的可能性があります。
- 週2〜4日程度の勤務
- 1日数時間の短時間勤務
- 責任範囲が明確な業務
- 清掃、警備、品出し、補助作業などの現場
- 高いスピードより安定した勤務が求められる仕事
逆に言うと、若い人と同じ土俵でフルタイムの仕事を狙ったり、処理速度や柔軟な対応力を強く求められる仕事を狙ったりすると、どうしても不利になりやすいのだと思います。
ここは少しつらいところですが、「まだ働ける」ことと「採用されやすい」ことは別です。
だからこそ、仕事探しでは、自分の希望だけでなく、相手が受け入れやすい条件に寄せることも必要になってきます。
>雇われる道だけでなく、自宅でできる働き方も考えてみる
何度も断られるうちに、私は少し考え方を変えるようになりました。
雇ってもらうことだけを前提にしていると、心が消耗し続ける。
それなら、自宅でできる仕事や、自分で小さく始める道も同時に考えたほうがいいのではないか。そう思うようになったのです。
資料の中でも、70歳以上の働き方として、パート・アルバイトだけでなく、自営業やフリーランスの継続も挙げられていました。
特に、農業、小売、士業などでは、「やれる限り続ける」という形で長く働く人がいるとされていました。
また、フリーランス全体の年代構成を見ると、40代以上が70%以上を占めるという調査結果も紹介されていて、シニア層が決して珍しい存在ではないこともわかります。
もちろん、70歳からフリーランスと聞くと、少し大げさに感じる方もいると思います。
でも実際には、そんなに特別なことではありません。
- これまでの仕事経験を活かして相談を受ける
- 文章を書く
- 資料を作る
- 講座や教える仕事をする
- 小さな受託業務を引き受ける
- 自分の知識や体験を発信する
こうしたものも、立派な「自宅でできる仕事」の一つです。
>シニアの働き方は、「雇われる」か「自分でやる」かの二者択一ではありません
ここまで数字と体験の両方を見てくると、私の中では一つの考えがはっきりしてきます。
70歳以上でも仕事はある。
ただし、その多くは受け皿のある分野に集中していて、働き方も短時間や非正規、自営的な形に移っていく。
つまり、70代の仕事探しは、若い頃のように「一つの会社に採用されること」だけを目標にするより、
- 求人応募を続ける
- シルバー人材センターも調べる
- 短時間の仕事も視野に入れる
- 経験を活かせる小さな仕事を探す
- 自宅でできる働き方も育てる
こうした形で、複数の道を持っておくほうが現実的なのだと思います。
私自身、雇われる仕事だけを追いかけていたときは、断られるたびに気持ちが沈みました。
でも、自宅でできる道も並行して考え始めると、不思議と少し心が楽になりました。
働き方を一つに決めなくていい。
そう思えるだけで、見える景色は変わってきます。
>まとめ:統計からの見方・実際の現場も答えは同じでした
「70歳以上に本当に仕事はあるのか?」
この問いに対して、資料の数字と、自分の実感の両方を合わせて言うなら、答えはこうなります。
仕事はあります。けれど、応募すればすぐ決まるほど甘くはありません。
65歳以上の就業者は増え続け、70〜74歳でも3人に1人前後が働いています。
制度面でも、70歳までの就業機会を広げる流れは進んでいます。
その一方で、実際の仕事は小売、清掃、警備、補助業務など受け皿のある分野に偏り、働き方も短時間・非正規が中心です。
そして、いったん退職したあとに70歳から新たに仕事を探すとなると、書類選考や面談の壁は、やはり低くありません。
だから必要なのは、「仕事があるか、ないか」と二つに分けて考えることではなく、「どんな形なら、自分は今の年齢で働けるのか」を考えることなのだと思います。
雇われる道が細くなっても、働く道そのものが消えるわけではありません。
探し方を変える。
働き方を少し変える。
そして、自分の経験をもう一度見直してみる。
退職後の仕事探しは、現役時代の延長ではなく、第二のやり方を見つける作業なのかもしれません。
今、同じように不安を感じている方がいたら、まずは落ち込む前に、現実の数字を一度見てみるのもいいと思います。
厳しさはあります。けれど、可能性までゼロになったわけではありません。
私自身も、雇われる道と、自分で作る道の両方を、もう少し探ってみようと思っています。